店舗・施設の火災報知器が何度も誤作動する原因は?自動火災報知設備の誤報対策を解説

店舗や事務所、マンション、工場、福祉施設などで、突然自動火災報知設備のベルが鳴り出し、確認しても火災が見つからないことがあります。

一度だけなら「たまたま誤作動したのだろう」と考えてしまいがちですが、同じ場所で繰り返し警報が鳴る場合は、感知器の汚れや劣化、設置環境との不適合、雨漏り、配線不良など、何らかの原因が隠れている可能性があります。

火災ではないのに自動火災報知設備が作動することを「非火災報」といいます。

非火災報を放置すると、店舗や施設の営業に支障が出るだけでなく、利用者や従業員が警報に慣れてしまい、本当の火災が発生したときの避難が遅れるおそれがあります。

本記事では、自動火災報知設備が誤作動する主な原因、警報が鳴ったときの初期対応、繰り返す誤報を防ぐための調査・改修方法について解説します。

火災報知器が鳴ったら、最初に火災の有無を確認する

警報ベルが鳴ったときに、最初から誤作動だと決めつけてはいけません。

まず自動火災報知設備の受信機を確認し、どの警戒区域で火災信号を受信しているかを確認します。そのうえで該当する場所へ向かい、煙、炎、焦げ臭いにおい、異常な熱などがないか確認してください。

火災の可能性がある場合や、火災かどうか判断できない場合は、安全を優先して119番通報、避難誘導、初期消火などを行います。

特に夜間や無人となる施設では、建物内部の見えない場所で火災が発生している可能性もあります。「何度も誤作動しているから今回も大丈夫」と判断するのは危険です。

自動火災報知設備が誤作動する主な原因

非火災報の原因は一つではありません。設置されている感知器の種類や周囲の環境、建物の状態によって原因が異なります。

1.調理による煙や湯気

飲食店、厨房、給湯室などでは、調理中の煙や湯気を煙感知器が検知することがあります。

厨房から発生した煙が、エアコンや換気扇の気流によって離れた場所まで流れ、廊下や客席の感知器を作動させるケースもあります。

新しい調理機器を導入した場合や、換気設備の運転方法を変えた後から誤作動が始まった場合は、室内の気流が影響している可能性があります。

2.浴室や脱衣所から流れ出した水蒸気

浴室、シャワールーム、サウナ、脱衣所などの近くに煙感知器があると、扉を開けたときに流れ出した水蒸気によって作動することがあります。

特に宿泊施設、スポーツ施設、福祉施設では、多くの利用者が入浴する時間帯に誤作動が集中することがあります。

この場合、感知器を単純に取り外すのではなく、設置場所や感知器の種類が環境に適しているかを確認する必要があります。

3.ほこりや粉じん

煙感知器は、火災による煙だけでなく、一定量のほこりや粉じんが内部に入ることで作動する場合があります。

次のような場所では特に注意が必要です。

  • 木材や石こうボードを加工する工場
  • 倉庫やバックヤード
  • 天井内や床下の点検口付近
  • 建築工事や内装工事を行っている場所
  • 大量の段ボールを扱う作業場
  • 清掃時にほこりが舞いやすい施設

店舗改装や天井工事の直後に警報が鳴るようになった場合は、工事中に発生した粉じんが感知器内部へ入り込んでいる可能性があります。

4.殺虫剤やスプレー類

殺虫剤、消毒用の噴霧器、塗料、ヘアスプレーなどの微粒子によって、煙感知器が作動することがあります。

害虫駆除や消毒作業を実施する場合は、事前に消防設備業者や建物管理者へ連絡し、自動火災報知設備への影響を確認することが大切です。

作業中だけ感知器を覆い、そのまま外し忘れてしまうと、本当の火災を検知できなくなるため注意が必要です。

5.結露や高湿度

温度差が大きい場所では、感知器や配線部分に結露が発生することがあります。

冷蔵・冷凍設備の周辺、半屋外の通路、厨房、浴室の近く、空調の風が直接当たる場所などでは、結露による誤作動が起こりやすくなります。

季節の変わり目や梅雨時、急激に気温が下がった日に誤作動が増える場合は、湿気や結露が関係している可能性があります。

6.雨漏りや水漏れ

天井内で雨漏りや配管からの水漏れが発生し、感知器の配線や接続部分に水が入ることで、火災信号が出る場合があります。

「雨が降った日にだけ警報が鳴る」「台風の後から誤作動が続く」といった場合は、感知器だけでなく屋根、外壁、配管、天井裏なども確認する必要があります。

感知器を交換するだけでは、雨漏りそのものが改善されない限り再発する可能性があります。

7.虫の侵入

小さな虫が煙感知器の内部へ入り込み、光学部分に影響して作動することがあります。

飲食店、食品工場、倉庫、ゴミ置場に近い場所などでは、虫が原因となるケースも考えられます。清掃や感知器交換だけでなく、建物側の害虫対策が必要になる場合もあります。

8.感知器の老朽化

長期間使用している感知器は、内部の電子部品や検知部分が劣化し、正常な判断ができなくなることがあります。

外観上はきれいでも、内部に汚れが蓄積している場合や、経年劣化によって感度が不安定になっている場合があります。

同じ時期に設置した感知器が建物内に多数ある場合は、故障した1個だけでなく、ほかの感知器についても更新時期を検討した方がよいでしょう。

9.配線の絶縁不良や接触不良

感知器に異常がなくても、天井裏や壁内の配線が劣化していると誤作動が発生することがあります。

ネズミによるケーブルの損傷、工事中の配線破損、接続端子の緩み、湿気による絶縁不良など、目視だけでは判断できない原因もあります。

感知器を交換しても誤作動が直らない場合は、回線の測定や配線調査が必要です。

10.受信機や中継器の故障

自動火災報知設備の受信機、中継器、電源装置などの故障によって、異常な火災信号が出ることもあります。

受信機にエラー表示が出ている、内蔵バッテリーの異常が表示されている、複数の警戒区域で不規則に発報するといった場合は、システム全体を調査する必要があります。

製造から長期間経過した受信機では、交換部品の供給が終了していることもあります。

誤作動した感知器を特定する方法

自動火災報知設備が作動したときは、受信機に火災信号を受けた警戒区域が表示されます。

該当区域に設置されている感知器のうち、作動したものは確認灯が点灯している場合があります。非火災報であっても、すぐに受信機を復旧させず、次の情報を記録しておくと原因調査に役立ちます。

  • 発報した日時
  • 受信機に表示された警戒区域
  • 作動表示灯が点灯している感知器の場所
  • 警報が鳴ったときの天候
  • 調理、清掃、入浴、工事などの作業状況
  • 煙、湯気、ほこり、結露の有無
  • 過去にも同じ場所で発報しているか
  • 受信機に表示されたエラー内容

復旧操作をすると作動した感知器が分からなくなる機種もあるため、可能であれば作動場所の写真を撮影してください。

警報音を止めるだけでは解決にならない

警報音を一時的に停止できても、誤作動の原因が解消されたわけではありません。

原因を確認しないまま受信機を復旧すると、しばらくして再び警報が鳴る可能性があります。また、ベルや連動設備を停止したままにすると、本当の火災が発生した際に警報や連動動作が行われない危険があります。

施設によっては、自動火災報知設備が次の設備と連動しています。

  • 非常放送設備
  • 火災通報装置
  • 防火戸や防火シャッター
  • 排煙設備
  • エレベーター
  • セキュリティ会社への移報
  • スプリンクラー設備の警報

操作方法を理解していない人が受信機を扱うと、必要な連動機能まで停止させてしまうおそれがあります。原因確認後は、消防設備業者による調査と正常状態への復旧を行ってください。

繰り返す誤作動の改善方法

非火災報の対策は、原因に合わせて行う必要があります。

感知器の清掃または交換

ほこりや虫、経年劣化が原因の場合は、感知器の清掃や交換を行います。ただし、内部の劣化が進んでいる場合は、清掃だけでは改善しないことがあります。

感知器の種類を見直す

湯気、粉じん、結露などが発生する場所では、設置環境に適した感知器への変更を検討します。

ただし、感知器は自由に種類を変更できるものではありません。天井の高さ、床面積、建物用途、設置場所の環境などを確認し、消防法令上の基準に適合する機器を選定する必要があります。

感知器の設置場所を変更する

空調の吹出口、厨房や浴室の出入口付近など、煙や湯気が集中する位置に感知器が設置されている場合は、必要な感知性能を維持しながら移設できるか検討します。

移設の可否については、所轄消防署との協議が必要になる場合があります。

雨漏りや結露の原因を改善する

水分が原因の場合は、感知器だけを交換しても再発します。屋根や外壁の防水工事、配管修理、断熱、換気改善など、建物側の対策も必要です。

配線を修理・更新する

絶縁測定や導通確認を行い、劣化・損傷している配線や接続部分を修理します。配線経路が分からない建物では、天井内や壁内の調査が必要になることもあります。

受信機を更新する

受信機が古く、部品供給が終了している場合や、複数の不具合が発生している場合は、受信機の更新を検討します。

受信機を更新する際は、既設感知器や発信機、地区音響装置との互換性、警戒区域、他設備との連動状況などを確認したうえで設計します。

店舗改装後に誤作動が増えた場合は要注意

店舗や施設の改装後に誤作動が発生するようになった場合は、工事による環境変化が影響している可能性があります。

  • 厨房設備を増設した
  • 換気扇やエアコンの位置を変えた
  • 間仕切りを新設した
  • 天井を張り替えた
  • 感知器を移設した
  • 塗装や床工事を行った
  • 建物の用途を変更した

改装によって感知器の配置が不適切になっている場合は、誤作動対策だけでなく、消防設備全体の設計を見直さなければならないこともあります。

内装工事を計画している段階で消防設備業者へ相談すると、工事完了後の追加工事や開業スケジュールの遅れを防ぎやすくなります。

自動火災報知設備の誤作動調査・修理は消防設備工事PROへ

自動火災報知設備の誤作動は、感知器を1個交換するだけで改善する場合もあれば、雨漏り、配線、受信機、設置環境などを含めた調査が必要になる場合もあります。

原因を確認せずに警報停止や復旧を繰り返していると、同じトラブルが何度も発生します。営業中の店舗、入居者がいるマンション、高齢者施設、宿泊施設などでは、利用者への影響も大きくなります。

消防設備工事PROでは、名古屋市を中心に愛知県・岐阜県・三重県で、自動火災報知設備の誤作動調査、感知器交換、配線修理、受信機更新、消防署への届出まで対応しています。

次のような場合は、お早めにご相談ください。

  • 同じ感知器が何度も作動する
  • 雨の日や湿度の高い日に警報が鳴る
  • 調理や入浴のたびに誤作動する
  • 感知器を交換しても改善しない
  • 受信機に異常表示が出ている
  • 古い受信機の交換部品が見つからない
  • 点検業者から改修を勧められた
  • 改装後から誤作動が増えた
  • 警報を止めたが、正常に復旧できているか分からない

発報した場所や時間、受信機の表示、当時の天候などが分かると、原因を絞り込みやすくなります。受信機や作動した感知器の写真があれば、あわせてお知らせください。

自動火災報知設備の誤作動や原因不明の警報でお困りの方は、消防設備工事PROまでお気軽にお問い合わせください。

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