漏電火災警報器の設置基準とは?
ラスモルタル造の民泊・古民家で注意したい消防設備を解説
古民家を民泊へ用途変更して開業する際、消防設備の確認で見落とされやすい設備のひとつが「漏電火災警報器」です。
ただし、重要なのは、漏電火災警報器はすべての建物に必要になるわけではないという点です。
漏電火災警報器の設置義務は「ラスモルタル造」の建物が対象となります。
この記事では、
- 漏電火災警報器とは何か
- なぜラスモルタル造で必要なのか
- 民泊・古民家で対象になりやすい理由
を分かりやすく解説します。
漏電火災警報器とは?
漏電火災警報器とは、電気設備の漏電を検知し、火災になる前に警報を発する消防用設備です。
電線の絶縁劣化や損傷によって漏電が発生すると、
- 配線の発熱
- 壁内部での発火
- 木部への着火
などにより火災につながる危険があります。
漏電火災警報器は、その危険を早期に検知するための設備です。
なぜラスモルタル造で設置義務があるのか?
ここが非常に重要なポイントです。
漏電火災警報器は、主に「ラスモルタル造」の建物で設置義務があります。
ラスモルタル造とは?
ラスモルタル造とは、
- 木造下地
- 金網(ラス網)
- モルタル仕上げ
で構成された外壁構造です。
古い木造アパートや古民家、昭和時代の建物で非常に多く採用されています。
ラスモルタル造で火災リスクが高い理由
ラスモルタル造では、内部に金属製のラス網があります。
漏電が発生すると、
- 金属ラスへ通電
- 発熱
- 壁内部の木材へ着火
という流れで、壁の中から火災になる危険があります。
さらに、壁内部で燃焼が進行するため、発見が遅れやすいという特徴があります。
そのため、消防法ではラスモルタル造の建物に対して漏電火災警報器の設置を求めています。
設置義務となる主な条件
主な条件
以下の条件を満たす場合に設置対象となります。
- ラスモルタル造
- 契約電流容量50A超
- 7項~14項の防火対象物で基準以上の面積の建物
特に重要なのが、
「ラスモルタル造であること」
です。
つまり、単純に50Aを超えているだけではなく、建物構造や面積が重要になります。
| 防火対象物の別 | 延べ面積 | 契約電流容量 | ||
|---|---|---|---|---|
| (1) | イ | 劇場、映画館、演劇上又は観覧場 | 300㎡以上 | 50Aを超えるもの |
| ロ | 公会堂又は集会場 | |||
| (2) | イ | キャバレー、ナイトクラブ | ||
| ロ | 遊技場又はダンスホール | |||
| ハ | 風俗店 | |||
| ニ | カラオケボックス等 | |||
| (3) | イ | 待合、料理店等 | ||
| ロ | 飲食店 | |||
| (4) | 百貨店、物品販売業を営む店舗等 | |||
| (5) | イ | 旅館、ホテル、宿泊所等 | 150㎡以上 | |
| ロ | 寄宿舎、下宿又は共同住宅 | |||
| (6) | イ | 病院、診療所、助産所 | 300㎡ | |
| ロ | 養護老人ホーム、有料老人ホーム等 | |||
| ハ | 老人デイサービスセンター等 | |||
| ニ | 幼稚園又は特別支援学校 | |||
| (7) | 小学校、中学校、高等学校、大学等 | 500㎡以上 | ||
| (8) | 図書館、博物館、美術館等 | |||
| (9) | イ | 蒸気浴場、熱気浴場等 | 150㎡以上 | |
| ロ | イ以外の公衆浴場 | |||
| (10) | 車両の停車場、船舶・航空機の発着場 | 500㎡以上 | ||
| (11) | 神社、寺院、教会等 | |||
| (12) | イ | 工場又は作業場 | 300㎡以上 | |
| ロ | 映画スタジオ又はテレビスタジオ | |||
| (13) | 自動車車庫、駐車場等 | |||
| (14) | 倉庫 | 1,000㎡以上 | ||
| (15) | 事務所、事務所ビル、官公庁等 | |||
| (16) | イ | 特定用途のある複合用途防火対象物 | 500㎡以上 | 50Aを超えるもの |
| ロ | 特定用途がない復党用途防火対象物 | |||
| (16の2) | 地下街 | 300㎡以上 | ||
| (16の3) | 準地下街 | |||
| (17) | 重要文化財 | 全て | ||
民泊で漏電火災警報器が必要になるケース
古民家民泊はラスモルタル造が多い
古民家や古い住宅を民泊へ転用する場合、
- 昭和期建築
- 木造ラスモルタル外壁
- 古い電気配線
であるケースが非常に多くあります。
そのため、民泊用途へ変更した際に、消防署から漏電火災警報器の設置を求められることがあります。
民泊化で契約容量が増えるケースも多い
民泊では、
- エアコン増設
- IH機器
- 給湯器
- 電子錠
- 防犯カメラ
- Wi-Fi設備
などを追加することが多く、契約容量が50Aを超える場合があります。
ラスモルタル造かつ50A超になると、漏電火災警報器の設置対象となる可能性があります。
漏電火災警報器の仕組み

漏電火災警報器は主に以下で構成されます。
- 零相変流器(ZCT)
- 受信機
- 音響装置
変流器が漏れ電流を検知し、受信機へ信号を送ります。
異常時には警報音を発して危険を知らせます。
点検で確認する内容
主な点検項目
| 点検項目 | 内容 |
|---|---|
| 外観点検 | 破損・腐食確認 |
| 作動試験 | テスト動作確認 |
| 配線確認 | 緩み・断線確認 |
| 警報確認 | ブザー動作確認 |
民泊開業前は消防署への事前相談が重要
古民家民泊では、
- 建築年代
- 外壁構造
- 契約容量
- 用途変更内容
によって必要設備が変わります。
特にラスモルタル造は、外観だけでは判別しにくい場合もあります。
そのため、民泊開業前には、
- 消防署
- 電気工事業者
- 消防設備業者
へ事前相談することが重要です。
まとめ
漏電火災警報器は、漏電による火災を未然に防ぐ消防設備です。
ただし、設置義務があるのは主に、
- ラスモルタル造
- 7項から14項の防火対象物で指定面積を超える場合
- 契約電流容量50A超
の建物です。
古民家民泊では、昭和期のラスモルタル造建物が多く、用途変更時に設置が必要になるケースがあります。
消防設備士乙種7類の試験でも、
- ラスモルタル造
- 50A超
- 変流器
は非常に重要なポイントです。
民泊開業を検討している方も、乙7類を勉強している方も、「なぜラスモルタル造で必要なのか」を理解しておくことが大切です。

