防火対象物の用途による特定用途・非特定用途の分類

防火対象物とは、火災の際に被害が及ぶ恐れのある建物や施設、構造物のことを指します。日本では、消防法や建築基準法に基づき、防火対象物に対して防火措置が求められていますが、その用途に応じて、特定用途と非特定用途に分類されます。この分類は、火災時の避難や消防活動のしやすさを考慮したものであり、それに応じた防火管理が必要です。

1.特定用途とは?

特定用途とは、火災が発生した場合、建物の利用者が自力で迅速に避難することが難しいと想定される用途を指します。このため、特定用途の建物にはより厳しい防火基準が求められます。

特定用途の例

・病院:患者は身体的な制約から自力で避難することが難しいため、スタッフによる誘導が必要です。
・老人ホーム:高齢者が多く、迅速な避難が困難であるため、特別な防火措置が求められます。
・幼稚園や保育園:子供が多く、避難時には大人の誘導が必要です。
・映画館や劇場:暗所で多数の人が集まるため、火災時の避難経路の確保が特に重要です。

特定用途の特徴

・多くの人が同時に利用し、火災時にパニックが発生しやすい
・身体的・精神的に自力で避難が難しい人が多く集まる場所
・建物内に避難誘導や非常口の確保が厳重に求められる

2.非特定用途とは?

非特定用途とは、利用者が火災時に自力で迅速に避難することが比較的容易であるとされる用途を指します。特定用途に比べると、避難において特別な配慮が必要ない場合が多いため、やや緩やかな防火基準が適用されます。

非特定用途の例

・オフィスビル:大人が主体であり、比較的自力で避難が可能です。
・工場:従業員が働いている場合、火災時には組織的な避難が行えると想定されます。
・倉庫:人が滞在する時間が短いため、避難のリスクが比較的低いとされます。

非特定用途の特徴

・利用者が自力で迅速に避難できる状況が前提
・比較的火災時のリスクが少なく、パニックが発生する可能性が低い
・防火対策は必要だが、特定用途に比べて制約は緩やか

3.防火対象物分類の重要性

この特定用途と非特定用途の分類は、建物の設計段階や運用の際に非常に重要な役割を果たします。特に、防火対象物の用途によって、避難経路や非常口の数、消防設備の設置基準が変わるため、消防法の規定に基づいた適切な管理が求められます。

・避難計画の策定:
特定用途の建物では、より詳細で具体的な避難計画を策定し、定期的な避難訓練を行うことが求められます。
・防火管理者の配置:特定用途の施設には、防火管理者の配置が義務付けられる場合が多いです。これにより、火災時の迅速な対応が可能になります。
・消防設備の設置:特定用途では、スプリンクラーや消火設備の設置が厳格に定められています。これにより、火災の拡大を防ぐことが期待されます。

防火対象物の用途による特定用途と非特定用途の分類は、火災時の避難の難易度に基づいて決定され、防火対策の基準に直接影響を与えます。特定用途では、避難の困難さを想定して厳格な防火管理が必要であり、非特定用途では比較的緩やかな基準が適用されます。いずれにしても、建物の安全を確保するためには、これらの分類に基づく適切な防火対策が不可欠です。
























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(6)項(1)老人短期入所施設、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム(非難が困難な要介護者を主として入居させるものに限る。)等
(2)救護施設

(3)乳児院(4)障害児入所施設(5)障害時支援施設、短期入所施設、共同生活援助施設(非難が困難な要介護者を主として入居させるものに限る。)

(16)項複合用途防火対象のうち、その一部に(6)項ロの用途部分を含むもの
(16の2)項地下街のうち、その一部に(6)項ロの用途部分を含むもの














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(1)項劇場、映画館、演芸場又は観覧場
公会堂又は集会場
(2)項キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの
遊技場またはダンスホール
性風俗関連特殊営業を営む店舗等
カラオケボックス、個室ビデオ等
(3)項待合、料理店その他これらに類するもの
飲食店
(4)項百貨店、マーケット、物品販売店舗又は展示場
(5)項旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの
(6)項病院、診療所、助産所
老人デイサービスセンター、軽費老人ホーム(6)項ロ(1)に揚げるものを除く。、有料老人ホーム(6)項ロ(1)に揚げるものを除く。等更生施設助産施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童養護施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター等児童発達支援センター、情緒障害児短期治療施設デイサービスを行う施設等身体障害者福祉センター、障害者支援施設(6)項ロ(5)に揚げるものを除く。地域活動支援センター、福祉ホーム等
幼稚園、特別支援学校
(9)項蒸気浴場、熱気浴場等
(16)項複合用途防火対象物のうち、その一部が特定防火対象物の用途部分を含むもの(6)項、(16の2)項を除く。
(16の2)項地下街(その一部に(6)項ロの用途部分を含むものを除く。)
























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(5)項寄宿舎、下宿又は共同住宅
(7)項学校
(8)項図書館、博物館、美術館等
(9)項公衆浴場(蒸気浴場、熱気浴場等は除く)
(10)項車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場
(11)項神社、寺院、教会等
(12)項工場又は作業場
映画スタジオ、テレビスタジオ
(13)項自動車車庫又は駐車場
飛行機又は回転翼航空機の格納庫
(14)項倉庫
(15)項前格項に該当しない事業所
(16)項イに揚げる複合用途防火対象物以外の複合用途防火対象物
(17)項重要文化財等

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