駐車場・自動車整備工場の泡消火設備|設計・新設・改修工事まで対応
駐車場や自動車整備工場では、ガソリン、軽油、エンジンオイルなどの可燃性液体を取り扱う可能性があります。
これらに火がついた場合、水だけでは十分な消火効果が得られないことがあり、散水によって燃えている油を広げてしまう危険もあります。
そこで使用されるのが、**泡によって燃焼面を覆い、酸素を遮断しながら冷却する「泡消火設備」**です。
泡消火設備は、スプリンクラー設備や自動火災報知設備と比べて施工できる業者が限られる、非常に専門性の高い消防用設備です。
消防設備工事PROでは、消防設備士甲種2類の資格者が、駐車場や自動車整備工場における泡消火設備について、次のようなご相談に対応しています。
- 新築建物への泡消火設備の設置
- 既存駐車場への新規設置
- 自動車整備工場の新設・増築・用途変更
- 老朽化した泡消火設備の更新
- 泡消火薬剤や泡消火薬剤貯蔵槽の交換
- ポンプ、配管、一斉開放弁、フォームヘッドなどの改修
- 消防署との事前協議
- 消防用設備等の着工届、設置届などの書類作成
- 不具合や点検指摘事項の改修
「泡消火設備が必要かどうか分からない」という初期段階からでもご相談いただけます。
建物の図面や計画内容を確認し、所轄消防署との協議を行いながら、建物に適した設備をご提案します。
泡消火設備とは

泡消火設備とは、水と泡消火薬剤を一定の割合で混合して泡水溶液を作り、フォームヘッドなどから放射する消火設備です。
放射された泡が燃えている油の表面を覆うことで、主に次の効果を発揮します。
窒息効果
燃焼面を泡で覆い、空気中の酸素が供給されるのを抑えます。
冷却効果
泡に含まれる水分によって、燃焼物や周囲の温度を低下させます。
可燃性蒸気の発生抑制
油面を泡で覆うことで、燃焼を継続させる可燃性蒸気の発生を抑えます。
駐車場や自動車整備工場では、車両燃料、潤滑油、整備用オイルなどが存在するため、一般的な水系消火設備だけでは対応しにくい火災が想定されます。
泡消火設備は、このような油火災に対して高い効果を発揮する設備です。
消防庁の資料でも、泡消火設備は消火用水に泡消火薬剤を混合し、火面を泡で覆うことによって窒息・冷却効果を得る設備として説明されています。(消防庁)
駐車場に泡消火設備が必要となる基準
駐車場だからといって、すべての建物に泡消火設備が必要になるわけではありません。
消防法施行令第13条では、一定規模以上の駐車場について、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備または粉末消火設備などの設置が求められます。
代表的な基準は次のとおりです。
駐車の用に供する部分
- 地階または2階以上の階:床面積200㎡以上
- 1階:床面積500㎡以上
- 屋上部分:床面積300㎡以上
- 昇降機などの機械装置により車両を駐車させる構造:収容台数10台以上
消防庁の資料においても、地階または2階以上で200㎡以上、1階で500㎡以上、屋上で300㎡以上、機械式駐車場で収容台数10台以上の場合が示されています。(消防庁)
ただし、実際の設置義務は、建物の構造、開放性、駐車方法、階数、床面積、防火区画、用途などによって判断が変わる場合があります。
条例による付加基準や、所轄消防署の運用を確認する必要もあるため、計画段階での消防署との事前協議が重要です。
自動車整備工場に泡消火設備が必要となる基準
自動車修理工場や自動車整備工場についても、一定規模以上になると泡消火設備などの設置対象になる可能性があります。
自動車の修理または整備の用に供される部分について、代表的な基準は次のとおりです。
- 地階または2階以上の階:床面積200㎡以上
- 1階:床面積500㎡以上
ここで注意したいのが、建物全体の延べ面積ではなく、自動車の修理または整備に使用する部分の床面積によって判断される点です。
例えば、同じ建物の中に次のような部分がある場合、用途ごとの面積や区画方法を整理しなければなりません。
- 車両整備スペース
- 板金・塗装スペース
- 車検ライン
- 部品倉庫
- オイル保管場所
- 車両展示スペース
- 事務所
- 待合室
- 駐車スペース
整備工場と駐車場が同じ建物内にある場合は、それぞれの用途や床面積を分けて検討する必要があります。
「延べ面積が500㎡未満だから不要」と自己判断せず、平面図や用途をもとに専門業者へ確認することをおすすめします。
駐車場では固定式泡消火設備が多く採用されます
屋内の自走式駐車場では、固定式の泡消火設備が採用されることがあります。
固定式泡消火設備では、火災を感知すると一斉開放弁が作動し、火災が発生した区画のフォームヘッドから泡を一斉に放射します。
一般的には、駐車場を一定の面積ごとに放射区画に分け、火災が発生した区画に対して集中的に泡を放射します。
日本消防検定協会の資料では、一般的な固定式泡消火設備について、駐車場内をおおむね50~100㎡で区画し、その区画内のフォームヘッドから泡を一斉放射する仕組みが紹介されています。(日本消防検定協会)
主な構成機器には、次のようなものがあります。
- 消火水槽
- 消火ポンプ
- 泡消火薬剤貯蔵槽
- 泡消火薬剤混合装置
- 一斉開放弁
- 自動警報弁
- 感知用ヘッド
- フォームヘッド
- 制御盤
- 配管
- 手動起動装置
- 流水検知装置
- 試験装置
- 送水口
建物の規模や方式によって構成は異なりますが、泡消火設備は、給水設備、薬剤混合設備、感知設備、制御設備が連動して初めて機能します。
そのため、単に配管やヘッドを設置するだけではなく、必要放射量、圧力、薬剤量、配管口径、放射区画などを総合的に設計しなければなりません。
特定駐車場用泡消火設備という選択肢

一定の条件を満たす駐車場では、従来型の泡消火設備に代えて「特定駐車場用泡消火設備」を設置できる場合があります。
特定駐車場用泡消火設備は、駐車場火災を自動的に感知し、泡水溶液を放射して火災の拡大を初期に抑制する設備です。
平成26年総務省令第23号では、一定の「特定駐車場」において、消防法施行令に基づく泡消火設備に代えて使用できる設備として規定されています。(e-Gov 法令検索)
方式には、次のような種類があります。
- 単純型平面式泡消火設備
- 一斉開放弁泡ヘッド併用型平面式泡消火設備
- 機械式泡消火設備
ただし、すべての駐車場で採用できるわけではありません。
建物の構造、天井高さ、駐車方式、防護対象物の配置、使用できる認定機器などを確認したうえで、所轄消防署との協議が必要です。
消防設備工事PROでは、従来型の泡消火設備と特定駐車場用泡消火設備のどちらが適しているかについても、建築計画や施工条件を確認しながら検討します。
固定式と移動式の違い
泡消火設備には、固定式と移動式があります。
固定式泡消火設備

天井などに設置したフォームヘッドから、火災が発生した放射区画へ泡を放射する方式です。
SPヘッドと一斉開放弁が連動して、自動的に放射するシステムが一般的です。
地下駐車場、屋内駐車場、大規模な自動車整備工場などで採用されます。
移動式泡消火設備

消火設備の格納箱にホースやノズルを収納し、火災発生時に人が操作して放射する方式です。
固定式と比較すると設備構成はシンプルですが、設置できる場所には条件があります。
開放性、避難安全性、煙の滞留、火災時に人が安全に操作できるかどうかなどを考慮しなければなりません。
建物によって自由に固定式と移動式を選べるわけではなく、消防法令や所轄消防署の判断に基づいて方式を決定します。
泡消火設備工事では事前の水量・圧力確認が重要です
泡消火設備を計画する際には、必要な水量と圧力を確保できるかを確認しなければなりません。
フォームヘッドから適切に泡を放射するためには、計算上必要となる放射量を満たすポンプ能力、消火水槽容量、配管口径が必要です。
特に既存建物へ泡消火設備を新設する場合、次のような問題が発生することがあります。
- 消火水槽を設置するスペースがない
- ポンプ室を確保できない
- 既存ポンプの能力が不足している
- 電源容量が不足している
- 太い配管を通すルートがない
- 天井内に十分な配管スペースがない
- 既存の泡消火薬剤混合装置が使用できない
- 既存設備の図面や計算書が残っていない
そのため、現地調査では建物内だけでなく、受水槽、ポンプ室、電気設備、配管ルート、排水方法なども確認します。
必要に応じて放射量計算や配管摩擦損失計算を行い、必要なポンプ能力や配管口径を選定します。
泡消火薬剤の選定と既存薬剤の確認
泡消火設備では、設備に適合した泡消火薬剤を使用しなければなりません。
代表的な泡消火薬剤には、次のような種類があります。
- たん白泡消火薬剤
- 合成界面活性剤泡消火薬剤
- 水成膜泡消火薬剤
薬剤の種類によって、必要放射量、混合濃度、消火性能、使用できる混合装置などが異なります。
そのため、既存設備の薬剤を別の種類へ交換する場合、薬剤だけを入れ替えればよいとは限りません。
次のような確認が必要です。
- 既存の泡消火薬剤の種類
- 製造年
- 型式
- 混合濃度
- 薬剤量
- 泡消火薬剤貯蔵槽の状態
- 混合装置との適合性
- フォームヘッドとの適合性
- 必要放射量
- ポンプ能力
- 消火水槽容量
薬剤の変更によって必要放射量が増える場合は、ポンプ、消火水槽、薬剤タンク、配管などの改修が必要になる可能性があります。
近年はPFOSなどを含有する泡消火薬剤への環境上の対応も重要な課題となっています。消防庁も、駐車場に設置された泡消火設備について、必要な消火性能を確保しながら、PFOSなどを含有しない薬剤への切り替えを進めるための基準整備を検討・実施しています。(消防庁)
既存の泡消火薬剤について種類や含有物が分からない場合も、薬剤の銘板、容器、過去の点検票などを確認しながら対応方法を検討します。
泡消火設備の老朽化で多い不具合
泡消火設備は長期間使用される設備ですが、配管や弁類、薬剤槽などは経年劣化します。
点検時には、次のような不具合が見つかることがあります。
一斉開放弁が作動しない
内部部品の固着、腐食、配管内の異物などによって、正常に開放しないことがあります。
一斉開放弁が作動しなければ、火災時にフォームヘッドから泡を放射できません。
感知配管から漏水している
感知用ヘッドや感知配管の腐食によって、圧力が保持できなくなることがあります。
フォームヘッドが腐食・閉塞している
駐車場は排気ガス、湿気、粉じん、塩害などの影響を受けやすく、フォームヘッドが腐食することがあります。
塗装工事の際に誤ってフォームヘッドまで塗装されているケースにも注意が必要です。
泡消火薬剤が劣化している
長期間保管された薬剤は、変質、分離、沈殿などが発生している可能性があります。
薬剤の状態によっては、十分な発泡性能や消火性能が得られません。
配管が腐食している
古い駐車場では、配管内部の腐食や外面腐食によって漏水が発生することがあります。
部分補修で対応できる場合もありますが、腐食範囲が広い場合は系統ごとの配管更新が必要です。
ポンプの能力が不足している
ポンプの経年劣化、羽根車の摩耗、配管内部の閉塞などにより、必要な圧力や流量を確保できないことがあります。
点検で不具合を指摘された場合は、単に部品を交換するだけでなく、設備全体が設計どおりの性能を発揮できるかを確認することが大切です。
泡消火設備工事の一般的な流れ
消防設備工事PROでは、次のような流れで工事を進めます。
1.お問い合わせ
新築、改修、用途変更、点検指摘、薬剤交換など、ご相談内容をお聞きします。
建築図面、消防設備図面、点検結果報告書、既存設備の写真などがある場合は、事前にご用意ください。
2.現地調査
駐車場や整備工場の面積、構造、天井高さ、防火区画、既存設備、配管ルート、ポンプ室、電源などを確認します。
3.所轄消防署との事前協議
建物の用途や構造を整理し、必要となる消火設備の種類、方式、放射区画などについて所轄消防署と協議します。
4.設計・計算
必要放射量、放射区画、薬剤量、水源容量、ポンプ能力、配管口径などを計算します。
フォームヘッド、一斉開放弁、混合装置、制御盤などの機器も選定します。
5.お見積り
設計内容をもとに、機器費、配管工事費、電気工事費、試験費、消防申請費などを含めたお見積りをご提出します。
6.着工届の提出
消防法令に基づき、工事着手前に必要な届出を行います。
7.設備工事
機器の設置、配管、配線、フォームヘッドの取付け、ポンプ・薬剤槽との接続などを行います。
8.試験・調整
配管の耐圧試験、ポンプ運転、弁類の作動、警報・表示、制御盤との連動などを確認します。
必要に応じて放射試験や発泡状態の確認も行います。
9.設置届・消防検査
工事完了後、消防用設備等設置届出書などを提出し、所轄消防署による完成検査を受けます。
10.引渡し・点検
完成図書や取扱方法をご説明し、引渡しを行います。
設置後は、消防法に基づく定期点検と点検結果報告が必要です。
消防署との協議から工事まで一括対応
泡消火設備の計画では、消防法令の条文を確認するだけでは十分ではありません。
実際には、次のような点を整理して消防署と協議する必要があります。
- 駐車場部分の床面積
- 整備工場部分の床面積
- 建物の階数
- 地階、無窓階の有無
- 開放性
- 駐車台数
- 自走式か機械式か
- 防火区画
- 天井高さ
- 梁やダクトの配置
- フォームヘッドの有効範囲
- 固定式または移動式の選定
- 特定駐車場用泡消火設備の採用可否
- 既存消防設備との連動
- 消火水槽やポンプの能力
特に用途変更や増築では、以前は設置義務がなかった建物でも、新たに泡消火設備などが必要になるケースがあります。
建物を購入した後や工事が進んだ後で設置義務が判明すると、追加工事によって予算や工程へ大きな影響が出る可能性があります。
駐車場や自動車整備工場を計画している場合は、できるだけ早い段階で消防設備業者へご相談ください。
泡消火設備は甲種2類消防設備士が工事を行います
泡消火設備は、消防設備士甲種2類の対象設備です。
甲種2類消防設備士は、次のような消防用設備について、工事、整備および点検を行うための国家資格です。
- 泡消火設備
- 水噴霧消火設備
- パッケージ型消火設備
- パッケージ型自動消火設備
泡消火設備は、設置件数がスプリンクラー設備や自動火災報知設備ほど多くないため、設計や施工に対応できる業者も限られています。
消防設備工事PROでは、消防設備士甲種2類の資格者が設備の内容を確認し、消防署との協議から設計、工事、届出まで対応します。
このような場合はご相談ください
次のような状況でお困りの場合は、消防設備工事PROへお問い合わせください。
- 駐車場を新築する予定がある
- 自動車整備工場を新規開業したい
- 工場の増築や用途変更を計画している
- 消防署から泡消火設備の設置を指導された
- 建築会社から泡消火設備業者を探すように言われた
- 泡消火設備を施工できる業者が見つからない
- 点検で一斉開放弁やフォームヘッドの不良を指摘された
- 泡消火薬剤の交換を検討している
- PFOSなどを含む薬剤への対応方法が分からない
- 消火ポンプや配管を更新したい
- 既存設備の図面が残っていない
- 消防検査まで一括して依頼したい
- 相見積りを取っているが、工事内容の違いが分からない
泡消火設備は、建物ごとに必要となる設備構成が大きく異なります。
正確なお見積りには現地調査や図面確認が必要ですが、計画初期のご相談にも対応しています。
駐車場・自動車整備工場の泡消火設備は消防設備工事PROへ
泡消火設備は、万一の車両火災や油火災から、人命と建物を守る重要な消防用設備です。
一方で、消防法令上の判断、必要放射量の計算、薬剤の選定、配管設計、消防署との協議など、高度な専門知識が求められます。
消防設備工事PROでは、消防設備士甲種2類の資格者が、駐車場や自動車整備工場の泡消火設備について、計画段階から対応します。
- 泡消火設備が必要か調べてほしい
- おおよその予算を知りたい
- 建築図面から見積りをしてほしい
- 消防署との協議を任せたい
- 既存設備を改修・更新したい
- 点検で指摘された不具合を直したい
このようなご相談もお気軽にお問い合わせください。
図面や点検結果報告書をお送りいただければ、建物の状況を確認したうえで、必要な工事や今後の進め方をご案内します。
駐車場・自動車整備工場の泡消火設備の設計、施工、改修、消防申請は、消防設備工事PROへお任せください。
※消防用設備の設置基準は、建物の用途、面積、階数、構造、区画、地域の条例、所轄消防署の運用などによって異なります。本記事は一般的な基準を解説したものであり、個別物件の設置義務を確定するものではありません。

