防火対象物と消防対象物
消防法にて「防火対象物」とは「山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物若しくはこれらに属する物」と定義されています。「防火対象物」はその用途において1項から20項まで分類されています。
これに対して「消防対象物」があり、これは「防火対象物」とそれに無関係な物件(山林および建築物などを除くもので、動山・不動産も含まれる)も含まれたもので、
「山林又は舟車、船きよ若しくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物又は物件」となっています。
特定防火対象物
用途が百貨店、旅館、病院、地下街など不特定多数の者や、身体老幼弱者が出入する防火対象物を特定防火対象物として、規定されています。
特定防火対象物は、消防用設備の設置基準が厳しいほか、消防法の改正に伴い既存の消防用設備を改正後の設備に適用させなければなりません。(遡及の適用)
複合用途防火対象物
1つの防火対象物に2つ以上の用途が入っている防火対象物を複合用途防火対象物といいます。1つの用途の場合は、単体用途となります。単体用途と複合用途の判定は次のようになります。
工場での社員食堂や神社での宴会場は、「機能従属」といい、管理権原者が同一で、利用者が同一か密接な関係にあり、利用時間もほぼ同じ場合、単体用途となります。また、このような「機能従属」ではなくても、「みなし従属」といい、独立した用途がある場合、おもな用途部分の床面積が延べ床面積の9割以上で、独立した用途の床面積合計が300m未満の場合も単体用途となります。これら条件に当てはまらない場合は複合用途となります。
無窓階・高層建築物
無窓階とは、建築物の地上階で、「避難上又は消火活動上有効な開口部を有しない階」で、11階以上の階で、直径50cm以上の円が内接することができる開口部面積の合計が、該当階床面積の30分の1末満の場合、10階以下の階で、直径1m以上の円が内接することができる開口部はたは幅75cm以上、高さ1.2m以上の開口部)が2つ未満の階が該当となります。
高さ31mを超える建築物を高層建薬物と規定されます。
関係者
「関係者」は、防火対象物または消肪食物の所有者、管理者または占有者をいいます。
項 | 防火対象物 |
⑴ | イ 劇場、絵画館、演劇上または閲覧上 ロ 公会堂または集会場 |
⑵ | イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの ロ 遊技場又はダンスホール ハ 性風俗営業店舗等 二 カラオケボックス等 |
⑶ | イ 待合、料理店その他これらに類するもの ロ 飲食店 |
⑷ | 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場 |
⑸ | イ 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅 |
⑹ | イ 病院、診療所又は助産所 ロ 認知症高齢者グループホーム、老人短期入所施設、特別養護老人ホーム等 ハ 老人デイサービス、小規模多機能型居宅介護施設、軽費老人ホーム等 二 幼稚園又は特別支援学校 |
⑺ | 小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、大学、専修学校、各種学校等 |
⑻ | 図書館、博物館、美術館その他これらに類するもの |
⑼ | イ 公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類するもの ロ イに掲げる公衆浴場以外の公衆浴場 |
⑽ | 車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場 |
⑾ | 神社、寺院、境界その他これらに類するもの |
⑿ | イ 工場又は作業場 ロ 映画スタジオ又はテレビスタジオ |
⒀ | イ 自動車車庫又は駐車場 ロ 飛行機又は回転翼航空機の格納庫 |
⒁ | 倉庫 |
⒂ | 前各行に該当しない事業場 |
⒃ | イ 特定防火対象物が存する複合用途防火対象物 ロ イに掲げる複合用途防火対象物以外の複合用途防火対象物 |
(16-2) | 地下街 |
(16-3) | 準地下街 |
⒄ | 重要文化財、重要有形民俗文化財、史跡等の建造物 |
⒅ | 延長50m以上のアーケード |
⒆ | 市町村の指定する山林 |
⒇ | 総務省で定める舟車 |
※赤字は特定防火対象物