避難器具の種類
◎消防法で定めている避難器具は、「避難はしご」「緩降機」「滑り台」「避難用タラップ」「避難橋」「避難ロープ」「滑り棒梯子8種類である。(令第25条2項)。それぞれ次のように分類される。
固定はしご
金属製はしご 立てかけはしご
1⃣ 避難はしご つり下げはしご ハッチ用つり下げはしご
金属製以外のはしご
固定式
2⃣ 緩降機
可搬式
斜降式
3⃣ 救助袋
垂直式
直線状
4⃣ 滑り台
らせん状
固定式
5⃣ 避難用タラップ
半固定式
固定式
6⃣ 避難橋
移動式
7⃣ 避難ロープ
8⃣ 滑り棒
【避難器具の種類】
〔注意〕緩降機は、1人用となっている。多人数用は現在、商品化されていない。
〔用語〕タラップ(オランダ語:trap):船や飛行機の乗り降りに使うはしご。
▶避難器具の定義
◎規格省令等では、各種避難器具の用語の意義をそれぞれ次のように定めている。
(金属製避難はしごの企画省令、緩降機の企画省令、避難器具の基準)。
1⃣避難はしご 金属製はしごと金属製以外のはしごがあり、金属製はしごは、固定はしご、立てはしご、立てか
けはしご及びつり下げはしごをいう。
常時使用可能の状態で防火対象物に固定されて使用されるもの(収納式のもの及びその下部をお
固定はしご りたたむこと又は伸縮させることができる構造のものを含む。)をいう。
※収納式のものは、横桟を縦棒に収納しておき、使用の際、これを取り出して使用可能の状態に
することができるものをいう。
立てかけはしご 防火対象物に立てかけて使用されるものをいう。
つり下げはしご 防火対象物につり下げて使用されるものをいう。
つり下げはしごのうち、避難器具用ハッチに格納されているもの(使用の際、防火対象物に突子
ハッチ用つり下 が接触しない構造のものに限る。)をいう。※避難器具用ハッチは、金属製避難はしごを常時使用げはしご 可能の状態で格納することのできるハッチ式の取付け具をいう。
2⃣緩降機 使用者が他人の力を借りずに自重により自動的に連続交互に効果することができる機構を有する
ものをいう。
固定式緩降機 常時取付け具に固定されて使用する緩降機をいう。
可搬式緩降機 使用時に取付け具に取り付けて使用する緩降機をいう。
3⃣救助袋 使用の際、垂直又は斜めに展張し、袋本体の内部を滑り降りるものをいう。
4⃣滑り台 勾配のある直線状又はらせん状の固定された滑り面を滑り降りるものをいう。
5⃣避難用タラップ 階段状のもので、使用の際、手すりを用いつものをいう。
6⃣避難橋 建築物相互
7⃣避難ロープ 上端部を固定しつりさげたロープを使用し降下するものをいう。
8⃣滑り棒 垂直に固定した棒を滑り降りるものをいう。
※「滑り台」「滑り棒」は、法令等により「すべり台」「すべり棒」とも表記される。
▶検定対象品
◎避難器具のうち、金属製避難はしごと緩降機は、技術上の規格が定められ、日本消防検定協会により検定が実施されている。型式適合検定に合格したものは、次の証票により表示が付されている。
金属製避難はしご 緩降機
検定合格証票
▶認定対象品
◎避難器具には検定対象品の他に、総務大臣が認定する登録認定機関による認定対象品がある。
◎登録認定機関による認定品は次のとおりで、合格したものには、認定合格証票が対される。
品名
金属製以外のはしご
滑り台
避難ロープ (一財)日本消防設備安全センター
救助袋
避難器具用ハッチ (一社)全国避難設備工業会
【認定合格証票】
避難器具の設置基準
▶避難器具の設置が必要となる防火対象物
◎避難器具は、防火対象物の階に設置するものとする。ただし、避難階及び11階以上の階は除くものとする(令第25条1項)。
〔避難器具の設置階数・収容人員・設置個数〕
防火対象物の用途 設置階数 収容人員 設置個数
(1)劇場、映画館
公会堂、集会場 2階以上の階又は地階 ~200人・・・1個
(2)キャバレー、遊技場 ただし、特定主要構造 50人以上 201~400人・・・2個
カラオケ店 部を耐火構造とした建 401~600人・・・3個
(3)料理店、飲食店 築物の2階を除く (200人毎に1個追加)
(4)百貨店、マーケット
物品販売店、展示場
(5)旅館、ホテル 2階以上の階又は地階 30人以上 ~100人・・・1個
宿泊所 (10人以上※1) 101~200人・・・2個
共同住宅 201~300人・・・3個
(100人毎に1個追加)
(6)病院、診療所 2階以上の階又は地階 30人以上 ~100人・・・1個
養護老人ホーム (10人以上※1) 101~200人・・・2個
乳児院、幼稚園 201~300人・・・3個
特別支援学校 (100人毎に1個追加)
(7)小、中、高校、大学 2階以上の階又は地階 ~200人・・・1個
(8)図書館、博物館 ただし、特定主要構造 201~400人・・・2個
(9)蒸気浴場、公衆浴場 部を耐火構造とした建 50人以上 401~600人・・・3個
(10)車両の停車場 築物の2階を除く (200人毎に1個追加)
(11)神社、寺院、教会
(12)工場、作業場 100人以上 ~300人・・・1個
映画スタジオ 3階以上の階又は地階 (150人以上※2) 301~600人・・・2個
(15)事務所、銀行 601~900人・・・2個
(300人毎に1個追加)
3階〔※3〕以上の階のうち、当該階から避難階又は地上に 10人以上 ~100人・・・1個
直通する階段が2以上設けられていない階 101~200人・・・2個
201~300人・・・2個
(100人毎に1個追加)
(13)自動車車庫 ━
(14)倉庫 〔※4〕 ━ ━
(16)複合用途
・令別表第1は「施行令 別表第1」15P参照。
※1:下階に令別表第1 (1)~(4)まで、(9)、(12)イ、(13)イ、(14)又は(15)が在するものは、収容人員が10人以上

