
消防法施行令の一部を改正する政令(平成19年政令第179号。以下「改正令」という。)及び消防法施行規則の一部を改正する省令(平成19年省令第66号。以下「改正規則」という。)が平成19年6月13日に公布され、小規模社会福祉施設に対してスプリンクラー設備の設置が義務づけられ、また、小規模社会福祉施設について特定施設水道連結型スプリンクラー設備の設置が認められることとなりました。改正令及び改正規則の施行は平成21年4月1日ですが、防火安全上の観点等から前もって特定施設水道連結型スプリンクラー設備の設置を計画する施設が増えてくることが考えられます。
つきましては、特定施設水道連結型スプリンクラー設備については水道法第3条第9項に規定する給水装置に該当するものがありますので、その設置にあたりましては、下記の事項に留意いただきますよう、貴管下水道事業者への周知をお願いいたします。
なお、消防庁より平成19年12月21日付消防予第390号「特定施設水道連結型スプリンクラー設備等に係る当面の運用について」が各都道府県消防主管部長あて通知されているところですので、参考として添付いたします。また、厚生労働大臣認可水道事業者に対しては別途通知していることを申し添えます。
記
1 設置の申込を受ける段階の配慮事項
設置の申込を受けるにあたっては、以下の事項に配慮すること。
(1) 特定施設水道連結型スプリンクラー設備の類型としては、別紙1のようなものが考えられること。この場合において、特定施設水道連結型スプリンクラー設備を構成する配管系統の範囲は、水源(消防法施行令(昭和36年政令第37号)第12条第2項第4号ただし書により必要水量を貯留するための施設を設けないものにあっては、水道事業者の施設した配水管から分岐して設けられた給水管)からスプリンクラーヘッドまでの部分であること。ただし、配水管が水源であり、水道法施行規則第12条の2第2号に掲げる水道メーターが設置されている場合にあっては、水源から水道メーターまでの部分を除く。
また、特定施設水道連結型スプリンクラー設備のうち、水道法第3条第9項に規定する給水装置に直結する範囲(以下、「水道直結式スプリンクラー設備」という。)については、水道法の適用を受けること。
(2) 水道直結式スプリンクラー設備の工事(設置に係るものに限る。)又は整備は、消防法の規定により必要な事項については消防設備士が責任を負うことから、指定給水装置工事事業者等が消防設備士の指導の下に行うものとし、また、必要に応じて所管消防署等と打ち合わせを行うよう指導すること。
(3) 消防法令に基づく水道直結式スプリンクラー設備の設置にあたり、消防設備士が水道事業者の施設した配水管から分岐して設けられた給水管からスプリンクラーヘッドまでの部分について水理計算等を行うことになるので、水道直結式スプリンクラー設備を設置しようとする者に対して当該地区の最小動水圧等配水の状況及び直結給水用増圧ポンプ設備設置の可否について情報提供すること。
(4) 水道直結式スプリンクラー設備を設置しようとする者に対して、水道が断水のとき、配水管の水圧が低下したときなどは正常な効果が得られない旨を確実に了知させること。
その際、
① 災害その他正当な理由によって、一時的な断水や水圧低下等により水道直結式スプリンクラー設備の性能が十分発揮されない状況が生じても水道事業者に責任がない。
② 水道直結式スプリンクラー設備が設置された家屋、部屋を賃貸する場合には、①のような条件が付いている旨を借家人等に熟知させる。
③ 水道直結式スプリンクラー設備の所有者を変更するときは、①及び②の事項について譲受人に熟知される。
等を内容とする書面を申込者に交付する方法も考えられること。
(5) 水道直結式スプリンクラー設備の火災時以外における作動及び火災時の水道事業にその責を求めることのできない非作動に係る影響に関する責任は、水道事業者が負わない旨を設置しようとする者に十分説明し、了解を得ること。
(6) 寒冷地等における凍結防止のための水抜きが行われる地域においては、凍結防止のための水抜き時にも正常に作動するようなスプリンクラー設備の設置がなされるよう指導すること。
2 設計審査に当たっての配慮事項
給水装置としての設計審査にあたっては、以下の事項に配慮すること。なお、消防法令に規定された事項については、消防法に規定された消防設備士が責任を負い、所管消防署等に届け出ること。
(1) 当該給水装置を分岐しようとする配水管の給水能力の範囲内で、水道直結式スプリンクラー設備の正常な作動に必要な水圧、水量が得られるものであること。
(2) 水道直結式スプリンクラー設備の設計にあたっては、スプリンクラーヘッド各栓の放水量は15L/分(火災予防上支障のある場合にあると認められる場合にあつては30L/分)以上の放水量が必要であること。また、スプリンクラーヘッドが最大4個が同時に開放する場合を想定し設計されることがあるため、その際は、合計の放水量は60L(120L)/分以上を確保する必要があること。
(3) 水道直結式スプリンクラー設備の設計にあたっては、利用者に周知することをもって、他の給水用具(水栓等)を閉栓した状態での使用を想定できること。
(4) 水道直結式スプリンクラー設備は消防法令適合品を使用するとともに、給水装置の構造及び材質の基準に適合する構造であること。
(5) 停滞水及び停滞空気の発生しない構造となっていること。
(6) 結露現象を生じ、周囲(天井等)に影響を与える恐れのある場合は、防露措置が行われていること。
3 その他
(1) 水道直結式スプリンクラー設備の維持管理上の必要事項及び連絡先を見やすいところに表示するよう指定給水装置工事事業者に指導すること。
(2) 水道直結式スプリンクラー設備の所有者又は使用者に対し、当該設備を介して連結している水栓からの通水の状態に留意し、異常があった場合には、水道事業者又は設置工事をした者に連絡するよう指導すること。
(3) 2(1)及び(2)の事項が満たされない場合は、配水管から分岐する給水管口径の増径、受水槽や増圧ポンプの設置、建築物内装の耐火性を向上させる等の措置が必要になるので所轄消防署等に相談するよう指導すること。
(4) 水道直結式スプリンクラー設備の設置台帳を作成する等によりその設置状況を把握しておくこと。
(5) 水道直結式スプリンクラー設備の設置にあたり、消防法令で規定された消防用設備等として必要な事項については、消防法で規定された消防設備士等が所管消防署等に提出するので、水道利用者からの問い合わせ等に備えて、当該設備の水圧、水量の設計方法など必要な情報については、各市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む。)から情報を収集すること。