消火器

主流の消火器
全国で一番多く設置されている消火器は、加圧式ABC粉末消火器10型です。
消火薬剤は、ABC粉末消火薬剤を用いて、普通(A)火災、油(B)火災、電気(C)火災のいずれにも強い消火力を発揮する万能タイプです。表面火災には威力を発揮し、速攻的に消火します。ただし、粉未薬剤のため布団や木材など内部に火種を持ち、いつまでもくすぶるような火災に対しては、燃焼物の内部へは浸透しないので消火はしにくくなります。
 放射方式は、「加圧式消火器」が主流となり、レバーを握り、封板を開封し圧縮ガスをガス導入管により消火器容器内に充満させ、粉末薬剤を本体容器下部より、サイホン管を通じてホースから放射させます。
 加圧ガス容器の封板を開封した瞬間に最大の圧力が消火器の容器にかかり、容器がサビなどで劣化している場合、破裂などの事故を起こす恐れがあります。老朽化加圧消火器の破裂事故などをうけ、平成23年1月に「消火器の規格省令」が改正され、消火器の耐圧性能試験(製造年より10年経過したもの)が導入されました。また、事故をきっかけに「蓄圧式消火器」への更新が加速しています。蓄圧式消火器は、放射圧力源として窒素ガス(N2)が蓄圧されており、レバーを握ることによD、消火薬剤がサイホン管を通じ、ホースより放出されます。指示圧力計がついており、窒素ガスの蓄圧状態が一目で確認でき、維持管理が簡単にできることが大きな特長です。更に、万一腐食などで亀裂などが入った場合も蓄圧している素ガスが抜けるので安全で、今後の消火器の主流になっていく方式です。また、「化学反応式消火器」の放射方式には化学泡消火器があります。化学泡消火薬剤を用いたもので、30数年ほど前は主流でしたが、現在は、大型消火器として残っています。
 消防法により普通(A)火災、油(B)火災、電気(C)火災を消火能力単位として評価しており、ABC粉末消火器10型は、(A)火災=3、油(B)火災=7、電気(C)火災=適用するとなっています。
消火器の種類
消火器は消防法で定められた検定対象機器です。住宅における使用に限定した住宅用消火器と一般に設置されている消火器の業務用消火器があります。
消火薬剤によっても、ABC粉末消火器、中性強化液消火器、機械泡消火器、化学泡消火器、二酸化炭素消火器、水消火器などがあります。充填している消火薬⅔量により(粉末消火器だと薬剤量が20kg以上、化学泡消火器だと80&以上)のものを大型消火器と規定しており、電気室や危険物施設に設置されます。

消火器の設置基準
 消火器の設置基準は、歩行距離20m以下に1本設置されなければなりません。該当する防火対象物のどの部分からでも歩行距離20m以下に消火器が設置されているとのことになります。更に、電気設備、多量の火気を使用する場所指定可燃物、少量危険物に関係するような場所へは、付加設置分として各々必要な本数を設置します。
 一方、該する防火対象物に必要な能力単位を計算します。必要能力単位により一般建屋は普通(A)火災、危険物施設は油(B)火災、電気設備は電気(C)火災が対象となり、防火対象物の用途により能力が定められ、1単位/50m、1単位/100m、1単位/200mと3種類あり、耐火構造の場合、1単位/2倍mと緩和されます。また、大型消火器や消火設備を設置している場合、必要能力単位は緩和されます。必要能力単位に付加設置分を加算した能力単位以上の消火器を設置しなければなりません。ところが、ほとんどの場合、歩行距離20m以下に1本と付加設置分を設置すると当該能力単位以上になります。よって、日頃より歩行距離20m以下に1本と付加設置分の消火器があることを管理するのが重要なことになります。
 消火器は、床面から1.5m以下に設置し、薬剤の変質または噴出する恐れの少ない所に設置し、設置場所が一目でわかるように「消火器」を表示した標識板を設置します。
消火器の使用方法
 消火器は初期消火に最も有効な器具ですので、下記の使用方法をよく身につけて下さい。
(1)黄色の安全を引き抜く
(2)ホースをはずし火元に向ける
(3)レバーを握る
 消火器の効果的な消火方法は、火災の火元をほうきで手前から掃いていくように消火して下さい。炎の下部に消火薬剤が挿入され、消火薬剤の負触媒作用、窒息作用が効果的に働き、効率よく消火できます。
使用上の注意点について
 消火器は初期消火をする器具のため消火能力も限度があります。消火器での消火が可能な火災の目安は、室内では、火柱が天井に届くまでです。消火の際は、火に近づき過ぎないようにしてください。消火開始時には、3m程度の距離を保ち、炎がおさまるにつれて接近してください。
 消火に際しては逃げ道を確保し、室内では、出口を背にして消火をしてください。屋外での消火は風上から消火してください。

PAGE TOP